HOME > 読み物TOP > ナチュラルアイランドの物語 > ナチュラルアイランドの物語 Vol. 5『自社農園での有機栽培』
読み物

ナチュラルアイランドの物語
ナチュラルアイランドの物語 Vol. 5『自社農園での有機栽培』
2025.09.12
ナチュラルアイランドがここへ辿り着くまでに生まれた
たくさんの物語の、ほんの一部をお話しします。
■白老で芽生えたカレンデュラ自社農園構想
北海道白老町にある〈ナチュの森〉。「倶多楽湖の良質な水を使って化粧品を作りたい」という想いが結実した、ナチュラルアイランドのフラッグシップ施設です。
2013年に閉校した虎杖中学校の跡地を白老町から譲り受け、もとのグラウンドに工場を新設する計画が進む中で、ある構想が芽生えました。
それは工場に隣接してガーデンを整備し、工場と庭園を融合させた「スキンケア工園」をつくること。セントジョーンズワートや和ハッカ、白樺樹液など、信頼できる生産者の方々からご提供いただいている素材はありますが、「せっかく北海道に製造拠点を作るのだから、素材となる植物も自分たちの手で育てたい」と思ったのです。
そして自社農園の主役に選ばれたのが、カレンデュラでした。
カレンデュラは「トウキンセンカ」の和名で知られるキク科の植物。傷ついた皮膚や粘膜を保護する働きがあり、古くからヨーロッパでメディカルハーブとして用いられてきました。
カレンデュラのエキスやオイルを仕入れて製品をつくる化粧品メーカーは他にもありますが、自社でカレンデュラを栽培して花びらだけのエキスやオイルを抽出し、化粧品をつくっている会社はほとんどありません。
でも、やるからには自分たちの手で土を耕し、苗を育てて花を咲かせ、自信を持って使える素材をつくりたい。せっかく倶多楽湖の水という天然のミネラルウォーターを使える環境なのだから、化学的な肥料や農薬を使わない「有機栽培」を目指したい──まずはグラウンド跡地に工場をつくる過程で発生した残土を利用して畑を整備し、本シリーズでおなじみの社員・横岡が中心となって実験栽培がスタートしました。
透明度が高く水質良好な倶多楽湖
■「食べられるクオリティ」のために手間を惜しまない
カレンデュラは比較的寒さに強く暑さに弱い性質があり、高温多湿な日本では一年草として流通しています。北海道南西部に位置する白老町は、太平洋に面した穏やかな海洋性気候が特徴。夏は日射が強すぎず爽やかで、冬は北海道でも降雪が少ない町です。
セントジョーンズワートや和ハッカは地中に根を張る多年草なので、地面が雪に覆われる土地でないと越冬できません。一方カレンデュラは植えた年に種を残して開花サイクルを終える一年草なので、白老のような雪が少ない土地でも非常に栽培しやすいのです。
最初は横岡がカレンデュラを多年草だと思い込んでひと冬放置し、春になって何も生えてこない畑を見て呆然としたというウソのようなホントの話もありましたが、未知の挑戦にトライ&エラーはつきもの。
試行錯誤を重ねながら、春に種を植えて花を咲かせ、秋に種を採取して翌年も花を育てることに成功。本格的な有機栽培を目指して農園の管理責任者に着任した中出豪紀が掲げた「食べても安心のクオリティ」を目標に、化学肥料や農薬、除草剤などを使わずに良質なカレンデュラを育てる土づくりや環境を確立し、2019年に有機JAS認証を取得しました。
カレンデュラ畑では2月下旬から作業が始まります。
ビニールハウスの中で種から苗を育てて、4月に入ると堆肥や腐葉土などを使ってしっかりと土を耕して土壌を整備。苗の植え付けはナチュラルアイランドの社員と社会福祉法人ホープが運営する就労支援施設〈フロンティア〉で働くみなさんが協力して行います。天候を見ながら水を撒き、伸びてくる雑草を毎日取り除き、害虫を手で捕まえ、初夏の開花シーズンになると一輪ずつ摘み取り、花びらだけを1枚ずつ取り分けてじっくりと自然乾燥させます。これらの作業はすべて人の手で行います。化学肥料や農薬を使えば短期間で結果が出ますが、有機栽培はほんとうに手間と時間がかかるのです。
「それでもしっかりと手入れして最高の状態に咲かせるのが私たちの仕事。手間をかけた分だけ大きくたくさん咲いてくれる花々を見ると、うれしい気持ちでいっぱいになります」と中出は微笑みます。
7月にはパワーあふれるカレンデュラが咲き誇ります
■人の想いと花の生命が土に宿る、サステナブルなものづくり
手間のかかるカレンデュラの有機栽培を継続できるのは、フロンティアのみなさんの協力があってこそ。お一人お一人さまざまな障がいがありますが、それぞれ得意なこともあり、有機栽培の肝となる土づくりや草むしりなど、ほんとうに丁寧な仕事をしてくださいます。ビニールハウスの中で花びらだけを取り分けるのは大変な作業ですが、手間を惜しまないからこそ純度が高く良質なカレンデュラ成分を抽出できるのです。
製品に使わない部分は捨てずに畑に戻し、堆肥に変えるのも有機栽培の大切なポイント。「ほんとうに良い製品を、素材から自分たちの手でつくりたい」という私たちの想いとフロンティアのみなさんの真心、そしてカレンデュラのいのちが土に宿り、循環し続けるサステナブルなものづくりがここにあります。
カレンデュラが満開になる6月〜7月、ナチュの森では普段は一般公開していないカレンデュラ畑で花摘みを体験できるプログラムなども用意して、みなさまのご来園をお待ちしています。初夏の北海道を訪れる際には、ぜひ足をお運びください。
ナチュラルアイランドの物語の関連記事
HOME > 読み物TOP > ナチュラルアイランドの物語 > ナチュラルアイランドの物語 Vol. 5『自社農園での有機栽培』